メリットの一方で生じるデメリットの存在

企業の中には従業員を住まわせるための社宅を所有している所も少なくありません。社宅の利用者にとっては、勤務地に近い場所に格安で住めるなどのメリットが多くありますが、所有する企業側にはデメリットとなる部分もあるのです。

その一つが初期費用の準備です。場所や敷地面積で若干の違いはありますが、まとまった人数が生活できるだけの広さの集合住宅を建てるとなれば、高額な資金を用意しなくてはいけません。

通常、建設で掛かった費用は家賃などで回収していくのが基本です。しかし、社宅の多くは賃貸物件よりも安く住めることを売りとしているため、効率良く回収するのは難しいと言えます。

社宅の建設にお金を使ってしまい、経営の資金繰りが苦しくなるようであれば本末転倒です。企業側は建設をする前にこの点を考慮しなくてはいけません。

そのほか、建設後に起こる問題が管理や維持に掛かるコストです。一般的な賃貸物件の場合、住民一人ひとりから家賃とは別に管理や修繕に掛かるお金を徴収する仕組みが取られています。

社宅は原則家賃や食費以外のお金を負担させることはなく、老朽化に伴う設備の不具合や大規模修繕などは全て企業が負担しなくてはいけません。一定の期間を目安に行う大規模修繕は、建物の規模によっては数百万円単位のお金が必要です。

社有社宅は資産という扱いになるので、固定資産税も毎年支払わなくてはいけません。将来を見据えた資金調達を常に考えなければいけないという部分は、企業側にとってデメリットになることがあります。